抄録
本研究では、大学生49名の協力を得て、笑顔、怒り顔、真顔の女の子と男の子の顔アイコン画像を用いた心的回転実験を行った。顔アイコン画像は、表情3種類と性別2種類の小計6種とその鏡像6種を作成した。それぞれ0度から330度まで30度ずつ回転させた画像を、正位置で示したターゲット画像の斜め下付近の左右に配置し、回転させた場合に、ターゲット画像と同一となるのは左右のどちらか答えさせ、正答・誤答と反応時間とを測定した。まず、参加者の性別と顔アイコン画像の回転角度別に、平均反応時間について2要因分散分析を行ったところ、交互作用はなく、性別による違いもなかった。次に、顔アイコン画像の表情と回転角度別に2要因分散分析を行ったところ、交互作用はなく、表情要因が統計的に有意傾向であった。LSD法による下位検定の結果、怒り顔の顔アイコンでは真顔の時よりも平均反応時間が遅くなることが示された。