抄録
学習者は,メタ認知的なモニタリングとコントロールを通じて,学習過程の主体的制御を行っている。加えて,記銘前のモニタリングが記銘時のコントロールを規定し,それらに基づいて記銘後のモニタリングが行われるなど,メタ認知的活動は相互に影響し合っている。本研究では,学習の各段階で行われるメタ認知的活動の相互関係と,学習成績への影響を検討した。
大学生49名を対象に,日本語単語とドイツ語訳のペア40項目の対連合学習,および4択での再認課題から構成される実験を実施した。メタ認知的モニタリングの指標として,学習前には各項目の学習容易性判断(EOL),学習後には既学習判断(JOL),想起時には確信度判断を求めた。メタ認知的コントロールの指標として,参加者ペースの学習時間,再学習の判断,再認課題の回答時間が測定された。各段階におけるメタ認知的モニタリングとコントロールの相互関係について,交差遅延モデルによる検討が行われた。