主催: 日本認知心理学会
会議名: 日本認知心理学会第20回大会
回次: 20
開催日: 2022/10/15 - 2022/10/16
本研究では、複数の選択肢から1つを選ぶ場面において、「課題冒頭に1秒間の待ち時間を設けるだけで、認知資源の分配が促され、判断の正確さが向上する」という可能性を検証した。行動実験(二者択一の知覚判断課題)では、参加者は刺激呈示から1秒経過しないと回答できないようになっていた。課題中は、参加者のマウスカーソルの軌跡がフレームごとに計測された。分析は、1秒の待ち時間を設けた今回のデータと、待ち時間なしで行われた筆者らの先行研究のデータを比較する形で行われた。反応時間と回答(正誤)、およびマウスカーソルの軌跡に基づく分析の結果、「1秒待たせる」という簡単な介入が、参加者の衝動性を抑えて、正答率を高めることが示唆された。本研究の手法は、介入策(1秒待たせる)・効果の検証(PCとマウスを使用)ともに簡易的に実現できることから、実験室外の様々な場面に応用できる可能性を秘めている。