抄録
本研究は,定番選択肢の存在が選択のオーバーロード現象に与える影響について検討することを目的とした。参加者に呈示する選択肢として,B-R サーティワンアイスクリーム株式会社の商品が用いられた。参加者は,サーティワンアイスに対する好意度と購入頻度を回答した後に,12種類ないし4種類の選択肢を逐次呈示された。その後に,欲しい選択肢の1位から3位までの順位付けを行い,順位付けに対する満足度と後悔度を6段階で評価した。実験の結果,選択肢にサーティワンの定番を含む条件では,店舗での購入経験の少ない参加者のみに選択のオーバーロード現象が生じた。バニラやチョコレートなどの一般的なアイスの定番を含む条件ではオーバーロード現象は生起せず,定番なし条件では高頻度での購入経験を持つ参加者においてより大きな効果が生じる結果となった。