抄録
占いを信じたり,おまじないを利用することは,不思議現象信奉や実証的根拠を欠く信念の一種として研究されている。本研究は,占いやおまじない信奉を多面的に捉え,それらに興味を抱いたり,それらを信じたり,生活に取り入れることなどと個人の情報処理や制御焦点のスタイルとの関連性を検討した。その結果,占い・おまじない信奉に係る諸側面によって,情報処理や制御焦点のスタイルが異なった影響を及ぼすことが明らかになった。情報処理スタイルに関しては,先行研究と同様に,直感性の影響が大きいことが示されたと同時に,合理性の低さが影響する側面(例:占い・おまじないを実行すること)も見受けられた。また,制御焦点に関しては,利得接近志向が,占いやおまじないが当たると信じることやお祓い・お参りなどの宗教的行動を実行することに,そして,損失回避志向が,占いやおまじないに興味を抱き,それらを実行することに関与することが示された。