日本認知心理学会発表論文集
日本認知心理学会第20回大会
セッションID: P1-A15
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物語読解による気分変化と個人差の検討
*田中 優希菜服部 雅史
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抄録
物語などを読むと気分の変化が起こることはよく知られている。しかし,物語読解による気分変化に関する実験結果は一貫していないことから,この効果は様々な個人差要因によって調整されうると考えた。そこで本研究では,物語読解による気分変化に対する個人差要因について,個人特性や読書への嗜好を測定する5つの指標を用いて探索的に検討した。読解前後の感情状態尺度の値について階層クラスタ分析を行った結果,「ネガティブ解消」「おだやかさ向上」「気分変化微少」の3つのクラスタが見いだされた。クラスタごとに読書に関する特性や読解時の状態を比較したところ,物語に入り込む状態を測る日本語版移入尺度(小山内, 2016)で有意差が見られた。参加者の特性や読書の嗜好も一部有意傾向であった。本研究の結果から,個人差要因が気分変化の調整変数であることが明らかになったが,さらに,読解中の状態をより詳細に検討する必要性も示唆された。
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© 2022 日本認知心理学会
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