日本認知心理学会発表論文集
日本認知心理学会第20回大会
セッションID: P1-B01
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透明なマスクの着用が顔表情認知に及ぼす影響
―小学生と成人データの比較―
*宮崎 由樹鎌谷 美希須田 朋和若杉 慶松長 芳織河原 純一郎
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抄録
マスク着用は感染症拡大防止に有効だが,その着用で表情が読みとりづらくなる。こうしたマイナス面の報告は,成人被験者を対象とした実証研究の知見に依拠しており,学童期の子どもを対象とした知見は極めて少ない。本研究では,マスクなし,不織布マスク,あるいは透明マスクを着用した顔表情画像を小学生に提示し表情弁別を求めた。そして成人の既データと比較した。実験の結果,成人では,マスクなし顔に比べて,不織布マスク着用顔において「喜び」「無表情」「悲しみ」の弁別パフォーマンスの低下が認められた。対して小学生では,「嫌悪」「恐怖」「喜び」「無表情」「悲しみ」「驚き」とより多くの表情でその低下が認められた。なお,このような低下は,透明マスク着用顔では総じて認められなかった。本研究の結果は,不織布マスク着用による顔表情認知の妨害は小学生でより大きい可能性,その対処として透明マスクの活用可能性を示している。
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© 2022 日本認知心理学会
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