日本認知心理学会発表論文集
日本認知心理学会第20回大会
セッションID: P1-B04
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マスクを装着した表情からの感情認識に社会的感受性が及ぼす影響
*池田 慎之介
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抄録

COVID-19の影響によりマスクを付ける機会が増加しているが,マスクを付けた表情からの感情推測の正確さの個人差についての検討はまだ不足している。本研究では,日本人(n = 123)を対象として,社交不安と社会的感受性がマスクを装着した表情からの感情認識の正確さに及ぼす影響について検討した。その結果,日本人においてはマスクを装着すると悲しみと恐れの感情が読み取りづらくなる一方で,喜び表情は影響を受けず,怒り表情の読み取りはむしろ正確になることが示された。また,マスクを付けていない表情からの感情推測が得意であると,マスクを付けた表情からも正確に感情を読み取ることができるが,そうした関係とは独立して,社会的感受性の高さがマスクを付けた表情からの感情推測の正確さを予測していた。本研究の結果から,マスクを付けた表情からの感情推測は文化によって異なる可能性,そして微妙な手がかりから他者の複雑な心的状態を推測できる人はマスクの影響を受けづらい可能性が示唆された。

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© 2022 日本認知心理学会
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