抄録
エイジズムは年齢に基づくステレオタイプや偏見、差別のことであり、高齢者へのネガティブな印象はエイジズムを高める。相手に抱く印象の一つに心の帰属(心の基本的な機能(意思、認知機能、情動機能)を相手に認めること)があり、攻撃・援助行動に繋がる重要な概念である。しかし、エイジズムが高齢者への心の帰属に影響するかは不明である。 本研究は、エイジズムが心の帰属に与える影響を検討した。参加者892名 (20–83歳)は、架空の高齢者と若年者に対する心の帰属の程度 、自身のエイジズム傾向を回答した。その結果、高齢者の意思と認知機能の程度は若年者よりも低い と判断されなかったが、情動機能が若年者より高いと判断された。 さらに、エイジズムの傾向が強い参加者は、高齢者の全ての機能を若年者よりも低く評価した。これらの結果は高齢者に対するステレオタイプ を示すとともに、エイジズムが高齢者に対する心の帰属に影響することを示唆した。