日本認知心理学会発表論文集
日本認知心理学会第20回大会
セッションID: O-08
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口頭
衛生マスクは若者顔の印象のみを向上させる
*鎌谷 美希宮崎 由樹河原 純一郎
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抄録

近年,目にする機会が増えた衛生マスク (以下,マスク) は,年齢を問わず着用者の魅力を向上させる。これは,魅力判断におけるネガティブな顔特徴が遮蔽されることに起因すると考えられているが,この遮蔽の効果が顔認知全般に及ぶかは明らかになっていない。マスクは高齢者の特徴である口元の皺などを隠すため,着用者の年齢は素顔よりも若く知覚される可能性が考えられる。本研究では,マスクによる遮蔽が高齢者と若者の顔をよりポジティブに知覚させるかを7つの側面 (年齢・魅力・好ましさ・個性・目標志向性・活力・気分) から検証した。その結果,若者はマスク着用によって年齢が若く知覚されたが,高齢者ではそのような効果はみられなかった。また,若者はマスク着用によって魅力や好ましさが高く知覚されたが,高齢者ではそのような効果はみられなかった。本研究の知見は,マスクによる遮蔽効果は着用者の年齢に依存して生じることを示した。

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