抄録
ワーキングメモリは情報を一時的に保持しておくための心的機能であり、様々な活動を支える。我々が実施したパイロット実験(N = 329)では、ワーキングメモリ(i.e., リスニングスパン成績)と社会的活動(i.e., 社会的ネットワークサイズ: 過去1ヶ月間に会った人物の数)の関連が示された。具体的には、(a)社会的ネットワークサイズとリスニングスパン成績が正の相関を持つことと(b)社会的ネットワークサイズの内、対面で会った人物の数とリスニングスパン成績は正の相関を持ち、非対面で会った人物の数とリスニングスパン成績は相関を持たないというパターンが示された。これらの結果を追試するため、本研究は事前登録を行い、パイロット実験を直接追試する実験を実施した(preregistered direct replication study, N = 338)。追試実験の結果はパイロット実験の結果をおおむね再現した。ワーキングメモリと社会的活動の関連という観点から、実験結果は議論される。