主催: 日本認知心理学会
会議名: 日本認知心理学会第21回大会
回次: 21
開催日: 2023/07/01 - 2023/07/02
顔記憶はしばしば再認課題で検討されてきた。この方法は記憶の有無を調べられるが、その記憶の表象を検討することが困難である。この問題に対し、近年、逆相関法を用いて顔の記憶表象が検討されている。本研究では、逆相関法を利用し、恋愛パートナーがいる女性はそうでない女性に比べて男性の魅力感受性が低いという効果の記憶への影響を検討した。実験では、参加者は魅力的または非魅力的な顔を記憶し、遅延の後で、ノイズが付与された2つの顔のどちらが記憶した顔かを判断した。この判断と付与ノイズから参加者の顔記憶表象を再現し、別の参加者がその魅力を評定した。その結果、恋愛パートナーがいる女性は、異性の顔だけでなく同性の顔の魅力感受性も低下していた。また、男性では女性とは逆に、パートナーがいると他者の魅力感受性が高かった。これらは、逆相関法を用いることで顔の記憶バイアスの個人差要因を実証的に検討できることを示している。