主催: 日本認知心理学会
会議名: 日本認知心理学会第21回大会
回次: 21
開催日: 2023/07/01 - 2023/07/02
再生テストは記憶成績を評価する主要な方法の一つであると同時に,再生自体も心理プロセスのひとつである。しかし,その検討は不十分であり,記憶現象が再生プロセスから議論されることはほとんどない。再生テストにおける再生率の過度の使用がその原因の一つであると考えた。本研究では,手がかり再生を対象として,その反応潜時を単語音読と比較することによって,背後にある再生メカニズムを検討した。手がかり再生・単語音読のどちらにおいても標的語を繰り返し反応させ,反復による潜時の変化を比較した。その結果,単語音読の方が全般的に潜時が短く,手がかり再生では反復を通して潜時が短くなったが20回反復した時点でも単語音読よりも速い反応はほとんど見られなかった。反応潜時の差は,単語音読における文字-音声のように事前学習された連合と比べて新奇な連合では海馬の寄与が大きいことを反映したものかもしれない。