抄録
これまでの研究により,死後の世界を信じることと幸福感や生きがい感の関連性が指摘されている(e.g., 大石他, 2007; 寺沢・横山, 2014)。しかしながら,これら両者の関係性に関するメカニズムの説明はなされていない。本研究では,大学生を対象に,情報処理スタイルの直感性を死後の世界観と主観的幸福感を媒介する変数とし,その効果を検討した。その結果,死後の世界を信じる群では,直感性が高い者は低い者にくらべて主観的幸福感が高くなることが示されたが,死後の世界を信じない群では,直感性の効果は認められなかった。また,SEMを用いた分析では,死後の世界観から主観的幸福感に正の有意なパスが確認されたのと同時に,直観性から死後の世界観,および,主観的幸福感に正の有意なパスが確認された。すなわち,死後の世界を信じることは幸福感を高めるが,これら両者は直感性によって媒介されていることが明らかになった。