日本認知心理学会発表論文集
日本認知心理学会第22回大会準備委員会
セッションID: O4-4
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ストローク幅と接触経験が書体の読みやすさ判断に与える影響
:読みやすさを示す異なる指標の比較
*齋藤 岳人*井上 和哉*樋口 大樹*小林 哲生
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抄録
書体の主観的な読みやすさはヒトの情報理解を支える重要な要素であり,その判断にはストローク幅や書体への日常的な接触経験が影響する。しかし,読みやすさの指標は複数あり,これらの要因が各指標に同様の影響を与えているかは明らかでない。そこで,本研究は代表的な読みやすさの指標(視認性と可読性)の主観評定値を取得し,各指標に対するストローク幅と接触経験の影響を比較した。具体的には,文字列を様々な書体で対提示する一対比較法から主観評定値を取得した。その際に,視認性は可読性と区別して判断させるため,断続的に提示し,判断させた。ストローク幅と接触経験を独立変数とした重回帰分析を行った結果,視認性ではストローク幅の影響(β = 0.66)が接触経験(β = 0.56)よりも強く,太字の書体ほど視認性が高かった。一方で,可読性では接触経験のみが影響し(β = 0.88),見慣れた書体ほど可読性が高かった。これらの結果は,読みやすさの指標によって主観的な判断に強く影響を与える要因が異なることを示唆する。
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