日本認知心理学会発表論文集
日本認知心理学会第22回大会準備委員会
セッションID: O2-1
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おもてなしの熟練による表情認知過程の変化
*三木 研作*竹島 康行*木田 哲夫*柿木 隆介
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抄録
今回、表情を伴う顔画像を提示した際にみられる誘発成分である視覚情報の初期の情報処理過程を反映しているP100成分と顔認知過程を反映しているN170成分を用いて、経験やトレーニングによるおもてなしの熟練が表情認知過程にもたらす変化を検討した。旅館で接客業に携わっている女性(おもてなし群)と接客業に関わったことのない女性(コントロール群)について、無表情の顔、笑った顔、怒った顔を提示した際のP100成分ならびにN170成分を比較検討した。左右後頭部に明瞭にみられたP100成分に関しては、その頂点潜時に2群間で有意な差がみられなかった。一方、P100成分の最大振幅は、コントロール群に比べおもてなし群で有意に大きくなっていた。特に、無表情の顔に対しては右後頭部で、怒った顔に対しては、左右後頭部で、おもてなし群のほうが有意に大きくなっていた。また、左右側頭部で明瞭にみられたN170成分に関しては、その頂点潜時ならびに最大振幅には2群間で有意な差はみられなかった。これらの結果から、経験やトレーニングによるおもてなしの熟練が表情認知過程の早い段階に変化をもたらす可能性が示された。
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