2009 年 14 巻 1 号 p. 8-20
本研究では,高次脳機能障害者(以下,当事者)が携帯電話やインターネットをどのように用いているかを調査した。対象は,高次脳機能障害専門機関で募集した当事者39名(以下,障害群)および年齢,性別,教育歴でマッチさせた健常者25名(以下,健常群)である。対象者に対し,携帯電話およびインターネットをどのように用いているか,どのようなメリット・デメリットを感じているかについて調査した。その結果,障害群における携帯電話やインターネットの利用は健常群ほど活発でなかった。障害群では,家族にいつでも連絡が取れる安心感を携帯電話の主要なメリットと考える割合が高かった。また,障害群ではインターネットのメリットもデメリットも特にないと答えた割合が高かった。携帯電話やインターネットをリハビリテーションに用いる際には,このような特性を考慮に入れる必要があると考えられた。