2022 年 60 巻 10 号 p. 881-887
コンクリートは,構成材料であるセメントの製造過程に起因して多くのCO2が排出されることなどから,地球環境に対して負荷をかける素材とみなされている。しかしながら最近では,CO2排出量を低減したコンクリートから,CO2を吸収することで排出量を相殺して「カーボンネガティブ」を実現するコンクリートまで,様々なコンクリートが開発,実用化されている。これらのコンクリートは,環境配慮型コンクリートと総称される。本文では,コンクリートがCO2を排出するメカニズムを概説するとともに,環境配慮型コンクリートを形態の違いなどで分類し,それぞれの技術について解説する。また,今後の展望として,CO2削減に関わる取組みを評価する上での視点などについて述べる。