2022 年 60 巻 10 号 p. 916-923
膨張コンクリートによって導入されるケミカルプレストレスの定量化および推定方法の実証を目的として,仕事量一定の仮定を用いて算出した膨張ひずみの推定値と,実大規模の床版および壁高欄を鋼桁上に持つ道路橋の試験体を用いた膨張ひずみの実測値との整合性を検証した。その結果,仕事量一定の仮定を用いることで,構造体の対称軸の有無によらず,一定の精度で構造物に導入される膨張ひずみおよびケミカルプレストレスを定量的に評価できることが確認された。これにより,構造物のひび割れを抑制するために有効なケミカルプレストレス量を事前に把握する方法として,当該推定手法が有効であることが示唆された。