2026 年 23 巻 2 号 p. R005-
強相関電子系物質では,超伝導や磁性などの物性を支配する電子間相互作用のエネルギーが大きい(1 ~ 10 eV)ため,フェムト~アト秒の超高速機能が期待されている.本稿では,6 fs近赤外パルスを用いたポンププローブ測定やアト秒精度のキャリアエンベロープ位相(CEP)の変調測定と,量子多体理論による解析から,強相関系特有のコヒーレント電荷ダイナミクスと新規な光機能について議論したい.具体的には,有機超伝導体κ-(ET)2Cu[N(CN)2] Brにおけるコヒーレントな電荷の運動に起因する誘導放出や第二高調波発生,スピン軌道モット絶縁体α-RuCl3における異なる軌道間の電荷ホッピングによる光磁化について紹介し,より短い時間領域へむけた課題にも言及する.