日本調理科学会誌
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加熱後の鶏肉への生姜搾汁添加と温蔵過程が結合組織コラーゲンとテクスチャーに及ぼす影響
杉山 寿美原田 良子平岡 美紀大重 友佳
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2010 年 43 巻 3 号 p. 192-200

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抄録
コラーゲンに対する生姜プロテアーゼの作用は,酸性条件下でのテロペプタイドに対するものであり,三重らせん部位に対しては作用しない。一方,生姜プロテアーゼはコラーゲンの熱分解物であるゼラチンには作用する。我々は,コラーゲンに対する生姜プロテアーゼの作用に基づき,加熱・温蔵過程における鶏肉のコラーゲンの変化と軟化を検討した。
その結果,加熱により,鶏肉の酸可溶性コラーゲン(ASC),ペプシン可溶化コラーゲン(PSC)は減少したが,不溶性コラーゲン量(ISC)は増加した。加熱調理した鶏肉の温蔵は,ゼラチン化を促し,コラーゲン総量を減少させた。生姜搾汁の添加ではコラーゲン総量が減少し,加熱後に生姜搾汁を添加した場合に著しいものだった。これは,加熱調理および温蔵過程で不均一な構造となったコラーゲンの熱変性部位に生姜プロテアーゼが作用したためと考えられた。また,生姜搾汁を添加し温蔵した鶏肉は,生姜搾汁を添加していない鶏肉と比較して剪断強度が低かった。
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© 2010 一般社団法人日本調理科学会
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