2010 年 43 巻 5 号 p. 301-305
本研究では,22組の親子に肉じゃがを調理してもらい,それぞれが調理した試料の類似性を検討した。その結果,具材の選び方や切り方などについて親子間に高い類似性が見られ,家庭の料理はある程度,親から子へと伝承しているものと考えられた。子へのインタビュー調査の結果,子は親の料理をおいしいと感じ,その味を再現しようと試みていたが,未熟さにより再現できていないと感じている人が多かった。すなわち,調理時の具材や調味料の選び方は調理を手伝うことで伝承されるが,親の味を再現するためには一人で家族の食事を作り,出来上がった料理に対して家族の批評を受けることが必要であると考えられた。