日本調理科学会誌
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加熱調理におけるスクロースのラジカル捕捉活性減少抑制効果
北尾 悟安藤 真美
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2012 年 45 巻 5 号 p. 352-358

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抄録
 りんごのシロップ煮の調理過程における抗酸化能の変化を検討した結果,原料のスクロースとりんごを加熱することにより原料未加熱時に比べ抗酸化能が上昇した。この理由として,新たに生成したと思われるカラメルやメラノイジンなどの褐色物質の効果が考えられるが,スクロースがりんごに含まれる各種抗酸化成分の加熱による抗酸化能の減少を抑制する影響も考えられた。
 そこでスクロースと抗酸化成分としてアスコルビン酸を取りあげ,これらの混合モデル系を設定し,加熱調理過程におけるスクロースがアスコルビン酸のラジカル捕捉活性の減少を抑制する効果を検証した。その結果,アスコルビン酸単独水溶液では加熱時間の延長とともにラジカル捕捉活性の減少が顕著に見られたが,外部加熱法(湿式加熱)および内部加熱法(電子レンジ加熱)ともにスクロースが共存することで捕捉活性およびアスコルビン酸量の減少が抑制された。加熱時間は異なるが,電子レンジ加熱においてスクロース濃度依存的にその効果が顕著であった。
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© 2012 一般社団法人日本調理科学会
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