日本調理科学会誌
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45 巻, 5 号
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総説
報文
  • 河野 由香里, 土屋 京子, 長尾 慶子
    2012 年 45 巻 5 号 p. 332-338
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/01/31
    ジャーナル フリー
     ホワイトソルガムはグルテンを含まず,味も香りもないため,食物アレルギーの人々が小麦の代わりに菓子や料理の材料として,適用することが予想される。
     本研究では,ホワイトソルガム粉が小麦粉の代わりとして,広い年代において好まれる調理の提案や,ホワイトソルガム粉と小麦粉間での品質等も比較する。
     初めに,微視的観察により小麦粉とホワイトソルガム粉の糊化特性を観察した。
     次に,ドーナッツやクレープの生地,フライ衣のドウやバッターを用意し,機器測定や官能評価等を実施した。
     ホワイトソルガム粉によるフライ衣は低カロリー食品としてみなされ,食感が軽く,フライ衣だけでなく,クレープ生地としてもふさわしいという知見が得られた。
ノート
  • 米田 千恵, 笠松 千夏, 村上 知子, 香西 みどり, 畑江 敬子
    2012 年 45 巻 5 号 p. 339-345
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/01/31
    ジャーナル フリー
     北海道厚岸産シングルシード方式による養殖マガキ成分の季節変化について調べた。産卵期後の2004年8月および2005年9月の試料は軟体部重量ならびに軟体指数ともに最低となった。タンパク質は産卵期前後の試料で最高になった。グリコーゲンは産卵期前後の試料で10%以下(乾重量換算)であったが,秋から春にかけては20%以上となった。ATPおよび関連化合物の総量は,11月に最高となり9月に最低となった。遊離アミノ酸総量は,6月に最高となり, 9月に最低となった。主要なアミノ酸はタウリンが最も多く,次いでアラニン,プロリン,グリシン,グルタミン酸の含量が高かった。9月および11月のマガキから調製したエキスの官能検査の結果,11月のエキスは,まろやかさが強く,苦味が弱いことが示された。
  • 堀江 秀樹
    2012 年 45 巻 5 号 p. 346-351
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/01/31
    ジャーナル フリー
     グアニル酸がグルタミン酸の味を強めることはよく知られている。何種類かの野菜(ナス,トマト,ニンジン,ダイコン,ネギ,ホウレンソウ)の蒸し処理によりグアニル酸が生成することを見いだした。ニンジンジュースへのグアニル酸の添加(蒸し野菜に含まれる濃度レベル(10 mg/l))をパネルは官能的に判定できた。蒸し野菜に含まれるグアニル酸はグルタミン酸のうま味を強めることにより,味に寄与することが示唆された。トマトのオーブン加熱は呈味成分を濃縮し,グアニル酸も生成した。焼いたトマトのうま味は,濃度の増加したグルタミン酸とグアニル酸の間の相乗効果のために,生のトマトよりも非常に強いものとなる。グアニル酸含量は調理野菜の味研究における重要な指標となるものと考えられる。
  • 北尾 悟, 安藤 真美
    2012 年 45 巻 5 号 p. 352-358
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/01/31
    ジャーナル フリー
     りんごのシロップ煮の調理過程における抗酸化能の変化を検討した結果,原料のスクロースとりんごを加熱することにより原料未加熱時に比べ抗酸化能が上昇した。この理由として,新たに生成したと思われるカラメルやメラノイジンなどの褐色物質の効果が考えられるが,スクロースがりんごに含まれる各種抗酸化成分の加熱による抗酸化能の減少を抑制する影響も考えられた。
     そこでスクロースと抗酸化成分としてアスコルビン酸を取りあげ,これらの混合モデル系を設定し,加熱調理過程におけるスクロースがアスコルビン酸のラジカル捕捉活性の減少を抑制する効果を検証した。その結果,アスコルビン酸単独水溶液では加熱時間の延長とともにラジカル捕捉活性の減少が顕著に見られたが,外部加熱法(湿式加熱)および内部加熱法(電子レンジ加熱)ともにスクロースが共存することで捕捉活性およびアスコルビン酸量の減少が抑制された。加熱時間は異なるが,電子レンジ加熱においてスクロース濃度依存的にその効果が顕著であった。
  • 駒場 千佳子, 武見 ゆかり, 中西 明美, 松田 康子, 高橋 敦子
    2012 年 45 巻 5 号 p. 359-367
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/01/31
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は,女子大学生の食事づくり能力の形成に関わる要因を探求することであった。私たちは,40名の女子大生について,6つのフォーカスグループインタビューを実施した。それらのグループのうち,3つは調理が得意なグループで,他の3つは調理が不得意なグループだった。
     調理の得意グループは,不得意グループに比べ,以下の特徴を示した。
    1.彼ら(調理得意グループ)は,小学校から高校までよりたくさんの調理の体験をしていた。彼らは,発達段階にともなって,より主体的に調理に関わるようになっていた。
    2.彼らは,家族からたくさんの観察学習の機会と,正の強化を得ていた。
    3.彼らは,母以外にも調理に関わる家族員を有していた。全体として,彼らは,食事づくり能力を形成する上でより支援的な家庭環境にあった。
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