緑茶を浸出する際の水の種類を変えることにより,緑茶浸出液の呈味の比較を行った。その結果,一般に硬水は緑茶の浸出には不適切であるとされていたが,硬度の高いevian水を用いて緑茶を浸出したところ,味覚センサーによるうま味強度が最も強いことが示された。evian水で浸出した緑茶と,次位のクリスタルガイザー水で浸出した緑茶について,三点比較法で官能評価を行ったところ,evian水で浸出した緑茶が有意に好まれる,との評価であった。
また,CaCl2を用いて硬度を調節した場合には,うま味強度に対する正の効果は認められなかったが,CaCO3と組み合わせて用いることにより,CaCO3の濃度依存的にうま味強度が強まった。人工硬水を用いて緑茶を浸出し,味覚センサーと官能評価において測定したところ,evian水と同程度のうま味強度を持つ緑茶を浸出することが可能であった。