日本調理科学会誌
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アナアオサ粉置換量が食パンの抗酸化性,力学的物性および嗜好性に及ぼす影響
山内 知子山本 淳子小出 あつみ間宮 貴代子阪野 朋子
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2015 年 48 巻 3 号 p. 180-186

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抄録
 アナアオサは緑藻の一種であり,ビタミン,ミネラル,抗酸化物質を多く含んでいるが,日常食として有効に利用されていない。本研究では,アナアオサの有効な食品利用法として,身近な加工品である食パンに凍結乾燥アオサ粉を置換(強力粉に対して1 wt%・2 wt%・3 wt%)したパンを作成し,アオサ粉置換量がパンの抗酸化性,力学的物性および嗜好性に与える影響について検討した。DPPHラジカル捕捉活性能は1%以上のアオサ粉置換で有意(p<0.05)に増加した。比容積は2%以上のアオサ粉置換で有意に低下し,膨化が阻害された。テクスチャーは,置換量の増加に伴いかたさ荷重が大きくなり,凝集性は低下した。走査電子顕微鏡による観察では,アオサ粉置換量の増加に伴い,網目構造の形成が阻害され,気孔が不均一になっていた。官能評価は採点法,順位法共に,1%パンが最も総合評価が良く,2%以上の置換は嗜好的に有意に好まれなかった。日常的に食すパンにアオサを置換することで,抗酸化成分が摂取でき,アナアオサは機能性パンを作成する有効な食素材であることが示唆された。
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© 2015 一般社団法人日本調理科学会
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