抄録
本研究では,食パン,およびミルク溶液の一部をサラダ油に置換した液状食品を材料としたゲル状パン粥を基本パン粥とし,加えて,基本パン粥試料の表面にとろみ(粘稠液状食品)を付加した試料を用い,ゲル状パン粥にとろみを付加することがヒトの嚥下状態にどのように影響するかを検討した。テクスチャー特性の硬さは品温20℃パン粥試料が45℃試料に比べ,有意に硬いことが認められた。官能評価より,品温20℃でとろみを付加したパン粥試料は,とろみを付加しないものに比べ,口中でべたつかず食べやすいと評価された。試料品温20℃の嚥下直前の食塊の硬さは,口中で食塊形成中に顕著に軟らかくなることが示され,嚥下直前の食塊のテクスチャー特性の試料間の差は小さいものとなった。表面にとろみを付加した45℃試料は20℃基本パン粥試料に比べ,嚥下時筋活動時間が短くなることが示された。