抄録
本研究ではもち米,およびアミロース含有率が異なる中アミロース米,低アミロースを材料米とした同程度の硬さを有する米粥の力学的特性と食べやすさの関係について検討した。もち米粥試料は口中でべたつき感があり,また,中アミロース米粥試料,低アミロース米粥試料に比べ,嚥下直前のもち米粥試料食塊は口中から喉へ送り込みにくいことが示された。米粥の食べやすさにはテクスチャー特性の付着性,および官能評価のべたつき感が大きく影響していると考えられる。健常若年者は口中でテクスチャー特性の付着性を把握し,回数を変えて咀嚼することで,嚥下直前の粥食塊の付着性を調節していることが本研究の結果により示された。