減塩は,生活習慣予防の観点から,現代人の食生活での課題である。しかし,塩味の低下は料理全体の風味を損なうため,おいしい減塩食の調理法の確立が不可欠である。
チキン・ブイヨンは,うま味やコクがあり,口あたりが良いため,料理のベースとして広く用いられている。そこで,本研究では,チキン・ブイヨンを活用して,減塩食の嗜好性を向上させることをめざし,チキン・ブイヨンによる塩味増強効果を官能評価によって検討した。その結果,チキン・ブイヨンに塩味増強効果が認められ,その効果には,チキン・ブイヨン中のうま味物質以外の物質が必要であることがわかった。
そこで,チキン・ブイヨンに含まれる油脂が,この塩味増強効果に及ぼす影響について検討した。チキン・ブイヨンを脱脂すると塩味増強効果が失われたが,この脱脂チキン・ブイヨンに米油を加えると回復した。このことから,チキン・ブイヨン中の油脂は,塩味増強効果に貢献すると考えられた。
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