日本調理科学会誌
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鰹だしの塩味増強効果に寄与する呈味物質
真部 真里子
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2018 年 51 巻 3 号 p. 173-179

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抄録
 鰹だしについて,これまでに,鰹だしに含まれるうま味以外の呈味物質が塩味増強効果を示すことが報告されているが,その原因物質は未だ特定されていない。そこで,本研究では,鰹だしの主要な呈味成分であるヒスチジン(His),乳酸,カルノシン(Car)に着目し,その塩味増強効果について官能評価によって検討した。
 プロビット法で解析した結果,三者の中で,Hisにのみ明確な塩味増強効果が認められた。また,乳酸とCarがHisの塩味増強効果に補足的に作用しないかについても,同様に官能評価によって検討したところ,いずれの物質にもHisの塩味増強効果を上昇させる作用は認められなかった。以上のことから,鰹だしに認められた塩味増強効果は,主にHisに起因すると考えられた。
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© 2018 一般社団法人日本調理科学会
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