日本調理科学会誌
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ミラクルフルーツによる呈味変調現象の検証
岡本 洋子多山 賢二古田 歩吉田 惠子
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2018 年 51 巻 4 号 p. 229-235

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抄録

 ミラクルフルーツは味変革物質として知られている。健康な女子学生23~27名を評価者に選び,甘味,酸味,塩味,苦味,うま味を含む代表的な食品12種類(グラニュー糖,グレープフルーツ,レモン,穀物酢,食塩,コーヒー,かつお削り節等)と日本宮崎県産ミラクルフルーツを試料として官能評価を行った。食品→ミラクルフルーツ→食品という順序で味わい,両極7点評点法を用いて呈味強度やおいしさを調べ,対応のあるサンプルのt検定を行った。酸味食品5試料では,味わった後は,味わう前に比べ,酸味強度の低下および甘味強度の上昇とともに,苦味強度の低下およびうま味強度の上昇が確認された(いずれもp<0.01)。さらに,酸味を含まない食品においても甘味強度のさらなる上昇を認めた (p<0.01)。酸味食品8試料では,「おいしさ評価」が上昇したが,甘味・塩味・苦味・うま味食品では,「おいしさ評価」には変化がみられなかった。ミラクルフルーツを味わう前と後では,我々の感じる甘味・酸味強度とともに,苦味・うま味強度にも変化がみられた。

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© 2018 一般社団法人日本調理科学会
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