日本調理科学会誌
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51 巻, 4 号
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総説
報文
  • 倉田 香織, 伊藤 正也, 松宮 政弘, 土橋 朗, 中村 厚, 近藤 智彦, 筬島 克裕, 板垣 康治
    2018 年 51 巻 4 号 p. 205-216
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/17
    ジャーナル フリー
     パルブアルブミン (PA) は魚肉に含まれる主要なアレルゲンの一つである。PAを加水分解する作用を期待して,カビ由来の酵素を用いカタクチイワシの魚肉抽出物のアレルゲン性を低下させることを,ELISA法および阻害ELISA法により明らかにした。本研究では,ウマミザイムG,プロテアーゼMアマノG,プロテアーゼPアマノ3G,アルカラーゼ,プロタメックス,ニュートラーゼ,フレーバーザイムの7種類の酵素を評価した。いずれの酵素で処理した場合も,苦味を呈することなく,PAが加水分解された。アルカラーゼおよびフレーバーザイムを組み合わせて処理したものが最もアレルゲン性が低下した。使用した酵素により,アレルゲン性の残存状況は異なっており,酵素の基質特異性が主要な要因となっていると考えられる。
ノート
  • 中川(岩崎) 裕子, 海堀 杏果, 小柳津 周
    2018 年 51 巻 4 号 p. 217-222
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/17
    ジャーナル フリー
     日本人は,カルシウムやマグネシウムなどの摂取が不足しており,その要因の一つとして飲料水に軟水を飲用していることが考えられている。本研究は,原料乳に硬水と脱脂乳を使用し,ミネラル成分を強化したヨーグルトの調製法を確立し,性状を評価することを目的とする。調製したヨーグルトについてpH,乳酸度,硬さ,粘度測定,官能評価および栄養価の評価を行った。
     調製したヨーグルトの栄養成分は,種菌の市販ヨーグルトと比較し,カルシウムとマグネシウム含有量が高く,低エネルギー,高たんぱく質となる。また,原料乳の脱脂乳量が多い程,硬さおよび粘度は高値となり,幼児や高齢者にとっても食べやすいプレーンヨーグルト程度の性状となった。一方,原料乳中の硬水濃度の違いは,力学的特性値および官能評価いずれにも影響が認められず,硬水独特の風味はヨーグルト加工に用いた際には影響しないことが明らかとなった。
資料
  • 安藤 真美, 北尾 悟, 高村 仁知, 的場 輝佳
    2018 年 51 巻 4 号 p. 223-228
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/17
    ジャーナル フリー
     エコロジー調理を念頭に置いた調理方法を検討するため,出来上がりの食感,つまり物性値を統一し,一つの食材を異なる調理方法により調理し,その際の使用ガス量と電力量から消費一次エネルギー量とCO2排出量を算出・比較することとした。
     ジャガイモを試料として「水煮」調理において,ガスと電子レンジを用いた8種類の調理方法を設定した。
     今回の実験条件において,総加熱時間短縮・消費一次エネルギー量およびCO2排出量削減が期待できる調理方法としては,ガス調理においても電子レンジ調理においても蒸らし操作を加えることが有効である可能性が示唆された。
     さらにガス調理は電子レンジ調理に比べ,総加熱時間は長いものの,消費一次エネルギー量およびCO2排出量は少なかった。一方,電子レンジ調理は調理時間が短かった。以上より,ガス調理と電子レンジ調理の長所を組み合わせた調理法の検討が今後期待される。
  • 岡本 洋子, 多山 賢二, 古田 歩, 吉田 惠子
    2018 年 51 巻 4 号 p. 229-235
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/17
    ジャーナル フリー
     ミラクルフルーツは味変革物質として知られている。健康な女子学生23~27名を評価者に選び,甘味,酸味,塩味,苦味,うま味を含む代表的な食品12種類(グラニュー糖,グレープフルーツ,レモン,穀物酢,食塩,コーヒー,かつお削り節等)と日本宮崎県産ミラクルフルーツを試料として官能評価を行った。食品→ミラクルフルーツ→食品という順序で味わい,両極7点評点法を用いて呈味強度やおいしさを調べ,対応のあるサンプルのt検定を行った。酸味食品5試料では,味わった後は,味わう前に比べ,酸味強度の低下および甘味強度の上昇とともに,苦味強度の低下およびうま味強度の上昇が確認された(いずれもp<0.01)。さらに,酸味を含まない食品においても甘味強度のさらなる上昇を認めた (p<0.01)。酸味食品8試料では,「おいしさ評価」が上昇したが,甘味・塩味・苦味・うま味食品では,「おいしさ評価」には変化がみられなかった。ミラクルフルーツを味わう前と後では,我々の感じる甘味・酸味強度とともに,苦味・うま味強度にも変化がみられた。
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