日本調理科学会誌
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米飯の物性および初期老化と炊飯液のpHとの関係
大石 恭子金成 はるな大田原 美保香西 みどり
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キーワード: 米飯, 老化, 炊飯液, pH
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2020 年 53 巻 2 号 p. 98-106

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抄録

 食酢および重曹を用いて酸性(pH 2.9),弱酸性(pH 5.0),中性(pH 7.0),弱アルカリ性(pH 8.4)に調整した炊飯液で飯を調製し,炊飯液のpHが飯の物性や老化に与える影響を調べた。炊飯直後においては,酸性の飯および弱アルカリ性の飯は,弱酸性の飯および中性の飯に比べて粒表層の粘りや付着性が有意に大きく,顕微鏡観察においても,飯粒表層のおねば層が厚いことが確認された。14時間の冷蔵後の飯では,粒全体および粒表層のいずれも,酸性の飯および弱アルカリ性の飯は軟らかくて付着性が大きく,官能評価においても他のpHの飯に比べて老化抑制効果が認められた。一方,弱酸性の飯は,他の試料に比べて冷蔵に伴う老化促進傾向が物性測定,官能評価および圧縮米飯粒の明度測定から示された。酸性および弱アルカリ性の条件での炊飯は飯の老化を抑制し,弱酸性の条件は老化を促進することが示された。

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© 2020 一般社団法人日本調理科学会
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