日本調理科学会誌
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米飯における生醤油の調理特性
安藤 真美北尾 悟畠中 芳郎阪上 了一小幡 明雄
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2020 年 53 巻 3 号 p. 207-215

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抄録

 炊き込みご飯を想定した炊飯米において,諸酵素が活きている生醤油の調理特性について火入れ工程を有する加熱醤油と比較検討を行った。

 その結果,糊化度は生醤油と加熱醤油を用いた炊飯米で大きな差はなかった。炊飯米の色調は,生醤油を用いた場合,色を明るく赤味の少ない淡い米飯を調製することができた。高い塩分濃度(米重量に対して2.0%塩分調味パーセント)の場合,破断荷重およびもろさ荷重の結果から,生醤油は加熱醤油に比べて軟らかくもろさの少ない米飯が調製できることが示された。また,還元糖量も生醤油で調製した米飯の方が加熱醤油に比べて有意に多く,官能評価の結果と一致していたことから,加熱醤油に比べて甘みを呈する米飯を調製できると思われた。

 以上の結果から,炊飯中に α-アミラーゼなどの澱粉分解酵素やその他の酵素作用により,生醤油は加熱醤油とは違う食感や呈味を有する米飯を調製できる可能性が示唆された。

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