日本調理科学会誌
Online ISSN : 2186-5787
Print ISSN : 1341-1535
ISSN-L : 1341-1535
報文
完熟山椒から抽出した香気成分のウルトラファインバブル生成装置を用いた水への導入
才木 充石井 真紀山﨑 正幸樋爪 彩子網塚 貴彦山崎 英恵伏木 亨
著者情報
キーワード: 山椒, UFB, 香気, 水への導入
ジャーナル フリー

2020 年 53 巻 4 号 p. 238-245

詳細
抄録

 完熟山椒に含まれる香気の水への導入を試みた。完熟山椒果皮を粉砕してカラムに詰め,窒素ガスをキャリアーとして抽出した香気をウルトラファインバブル(UFB)生成装置に導入した(UFB香気水)。UFB香気水には窒素抽出した気体に含まれていた山椒の柑橘様香気成分が移行していることをGC-MSで確認した。目視できる泡を発生する器具に比べて,水への香気の導入効率はUFB法が優れていた。評価者の嗅覚をノーズクリップで遮断するとUFB香気水は無味無臭となった。山椒果皮を直接水抽出したものには強いしびれ感があり,ヒドロキシ-α サンショオールが0.61 ppm含まれていたが,UFB香気水にはヒドロキシ-α サンショオールは検出閾値以下であった。UFB香気水は密封した缶では4週間後も香気が保存され,しびれ感を感じない柑橘様の山椒香気を有する新たな食材として利用できる可能性が示された。

著者関連情報
© 2020 一般社団法人日本調理科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top