本研究では山口県の保育所及び幼稚園給食における郷土料理提供実態に即した絵本を開発した。絵本は,幼稚園教諭及び保育士に評価・実施してもらうことで有用性を検討した。絵本の項目別評価では「巻末の作り方」が4.4と最も高い評価が得られた一方で,「文字の配置」では3.8と他の項目に比べ,低い評価が得られた。絵本の読み聞かせ後,「面白かった」と答えた幼児が88.4%であったことから,郷土料理を題材とした絵本の読み聞かせにより年長児から食文化へ興味をもつことができると推察された。さらに,読みきかせ時に,「けんちょう食べたくなった~」「作ってみたい」等と幼児から声が上がったことから,絵本中に共食場面や調理場面をいれることにより,食べる意欲や調理意欲まで高めることができる可能性が示唆された。提供実態に即した絵本の開発は,保育者の読み聞かせ意欲を高めると同時に,幼児が他の郷土料理や特産物への興味を持つきっかけを作れると考えられた。