2020 年 53 巻 5 号 p. 330-334
本研究は,日本においても昔からよく食されているナガイモを用いて,すりおろしと半月切りの調理形態での生と加熱温度の違いによるレジスタントスターチ(RS)量の変化について調べることを目的とした。加熱温度の違いについては,調理形態が半月切りとすりおろしの両方において,未加熱である生のナガイモのRS量は,加熱したナガイモと比べて非常に高く,70℃および沸騰加熱後のRS量と比べて生のナガイモのRS量は5~6倍であることが明らかとなった。この結果より,生のナガイモにはRS2(でんぷん粒子自体に耐消化性があるでんぷん)が多く含まれていることが示唆された。また,生のみで半月切りの方がすりおろしと比べて有意に高く,半月切りのRS量はすりおろしのRS量の約1.7倍も含まれていることが明らかとなり,おろして食するよりも塊茎のままで食した方がより多くのRSを摂取できることが示唆された。