日本調理科学会誌
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各種農産食品微粒子の起泡素材および乳化素材としての食品加工・調理への利用
谷澤 容子矢吹 実奈子石井 統也松宮 健太郎松村 康生香西 みどり
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2020 年 53 巻 5 号 p. 319-329

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抄録

 農産食品を粉砕して得た微粒子の起泡および乳化機能を利用することは,化学的加工のない調理加工食品の調製につながる。農産食品微粒子のこれらの調理機能を明らかにすることを目的とし,乾燥食品微粒子(穀類,豆類,キノコ類,海藻類等)による,砂糖減量メレンゲの泡沫安定化機能,および卵黄代替半固体状マヨネーズ類似ドレッシングの乳化機能について検討した。通常の半量の砂糖で調製した対照メレンゲに微粒子(もち米・干し椎茸・海藻など)を添加することで排液量が減少した。もち米または干し椎茸微粒子を分散させた油に酢とNaClを加えて撹拌することで,マヨネーズ類似の粘度をもつドレッシングが得られた。もち米微粒子は数か月にわたり乳化破壊に対して安定であった。共焦点レーザー顕微鏡により,乳化した油滴の内部および表面にもち米微粒子が観察されたことから,Pickering安定化機構が関与していると考えられる。タンパク質の関与が示唆された。

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