日本調理科学会誌
Online ISSN : 2186-5787
Print ISSN : 1341-1535
ISSN-L : 1341-1535
報文
リワークプログラムとしての「調理実習」の有用性
~Kirkpatrick 4段階モデルの視点から~
野口 律奈小澤 咲子若林 健二渡部 芳徳
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 53 巻 6 号 p. 378-386

詳細
抄録

 うつ病患者の増加に加え,従来の治療(休養と薬物)だけでは職場復帰が困難な患者が増加している。その原因として「抑うつ症状」が考えられてきたが,近年,復職に不可欠な認知機能(業務遂行能力)の低下がその原因として注目されている。そこで,従来の治療に職業リハビリテーションの考え方を付加したリワーク(復職支援)の動きが広がっている。

 我々は,リワークブログラムとしての「調理実習」の有用性を「カークパトリック4段階モデル」を使って検証するとともに,質的な分析によりプログラムの特徴を探索した。その結果,「調理実習」は調理特有のスキルに限らず,一般的業務遂行能力の改善に対する効果が示唆された。また,家庭での調理参加,栄養や食についての知識や関心が高まることも確認できた。さらに,「調理実習」の効果は,年齢や性に依らず,広い対象者に実施できるプログラムであることが示唆された。

著者関連情報
© 2020 一般社団法人日本調理科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top