日本調理科学会誌
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電子レンジを利用したスポンジケーキの品質特性と嗜好性
―オーブン焼成との比較―
松浦 朋子柴田 圭子
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2023 年 56 巻 3 号 p. 132-140

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抄録

 本研究は,電子レンジを利用したスポンジケーキの品質特性と嗜好性について,オーブン焼成との比較より検討した。実験には薄力小麦粉と砂糖を各々30%に固定した以下3試料を設定した。即ち,卵40%配合のオーブン焼成ケーキ(OS),同配合の電子レンジ加熱ケーキ(MS),卵20%,水12.5%,油7.5%配合の電子レンジ加熱ケーキ(MB)である。電子レンジ加熱はオーブン焼成に比べて加熱時間を1/15に短縮させた。OSに比べ,MSの方が比容積は高値だったが,MSの組織構造は不均一で,その食味は硬さや口当たりの悪さが感じられ好まれなかった。MBはOSやMSに比べて膨化成績は若干劣るが,軟らかくて壊れやすい特徴を持ち,MSより好まれる傾向が認められた。本実験の結果から,電子レンジ加熱の場合は,MB配合を用いればMSよりも嗜好性を向上させることが示された。また,MBはOSの品質や嗜好性に近似するというよりも,それとは異なる特有の軟らかさ持つ食味のケーキと評価された。

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© 2023 一般社団法人日本調理科学会
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