本研究では,市販食用塩の種類に着目し,ホウレンソウを1%食塩水でゆでた際の色調,アスコルビン酸(AsA),硝酸塩の変化を比較検討した。その結果,市販食用塩の化学的特性の違いは色調に反映され,特にアルカリ性を示す食用塩を用いて調製した青汁では,明度(L*値)が有意に上昇し,外観が明るくなる傾向が認められた。これに対して本研究の操作条件(ゆで2分,水さらし5分,ゆでる前の重量と同重量になるまで水切り)では,AsAおよび硝酸塩の残存率について塩種による明確な差は認められず,「食塩添加はビタミンC保持に有効である」とする通説の妥当性を十分に検証するには至らなかった。以上より,色調改善を目的とする場合には塩種の選択が有効である一方,成分保持を重視する場合には,塩種よりも調理操作を適切に管理することが重要であることが示唆された。