調理科学
Online ISSN : 2186-5795
Print ISSN : 0910-5360
ISSN-L : 0910-5360
甘藷の加熱糖化に及ぼす各種添加物の影響
松尾 真砂子高谷 とし子
著者情報
ジャーナル フリー

1983 年 16 巻 3 号 p. 188-192

詳細
抄録
甘藷は加熱すると甘味が増加するが,甘味は甘藷の旨味要素の一つであるから,甘藷自身の糖化力を最大限に生かす煮方を検索する目的で,甘藷を煮る時に使用する添加物が,糖化に及ぼす影響を調べ,次に述べるような結果を得た.
1)甘藷を煮る時,加熱液に添加する食塩1%,醤油4%,明礬0.4%は甘藷の糖化を阻害するが,砂糖3%や化学調味料0.2%は糖化を妨げなかった.
2)食塩や醤油は添加温度が高くなるにしたがって甘藷の糖化を阻害しなくなり,80℃ の添加では,ほとんど阻害しなかった.したがって甘藷を煮る際に甘藷そのものの甘味を最大限に引き出すコツは甘藷が柔らかくなってから食塩や醤油を加えることである.
3)明礬の糖化阻害力は温度によって影響されなかった.
4)添加物が甘藷の加熱糖化を阻害する原因として,醤油と明馨の場合はβ-アミラーゼ活陸の阻害が考えられ,食塩の場合はβ-アミラーゼ活性の阻害とデンプンの糊化阻害の重複が考えられる.
著者関連情報
© 一般社団法人日本調理科学会
前の記事
feedback
Top