日本調理科学会誌
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米飯の食味評価法の検討―呈味成分を含めた客観的評価法―
小西 雅子井出 邦康吉村 理恵子畑江 敬子島田 淳子
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1996 年 29 巻 4 号 p. 264-274

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抄録
本研究は,米飯の食味を客観的に評価することを目的としている。前報では,31種類の米を試料として官能検査を行い,外観も含めた理化学的測定により,米飯の食味を客観的に評価する方法を確立した。本報では同じ試料を用いて,米の呈味に関与すると思われる全粒部および外層部の成分を測定した。その結果を前報の米飯の食味の客観的評価法に加えることで,精度を一層高めることができた。
1.各成分の外層部への外在率を検討したところ,水分はいずれの試料も一様に分布していたが,たんぱく質,Mg,K,全糖,還元糖,遊離糖,遊離アミノ酸はいずれも外在率が13%より高く,米外層部に偏在していることが明らかになった。
2.米飯の総合的な好ましさと高い相関がみられた甘味の好ましさを,全粒部全糖,外層部シュクロース,全粒部フェニルアラニンの3項目で表すことができた。
3.米飯の総合的な好ましさは,外層部シュクロース,L値,アミロース比の3項目で表すことができ,重相関係数は0.85であった。前報の物理的要因から求めた客観的評価式(重相関係数:0.76)より,米飯の総合的な好ましさをよりよく評価できることが明らかになった。
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