日本調理科学会誌
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大量調理における下処理の違いによるジャガイモの煮くずれの比較
田村 朝子加藤 哲子鈴木 一憲南 江美子佐々木 舞木下 伊規子
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2003 年 36 巻 4 号 p. 403-409

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抄録
「煮物」は,「煮くずれ」が生じやすく,難しい調理操作の1つとされている.特に大量調理では,家庭などでの少量調理に比べて煮くずれが生じやすい.本研究では,大量調理で煮物を作る場合の煮くずれ防止のための標準調理操作を構築することを目的に,今回は調味加工前の材料(ジャガイモ)に,下処理の調理条件を検討した.蒸す,揚げる,妙める,ゆでるの4種類を行った.煮くずれは,ジャガイモを取り除いた後の煮汁中に残った残渣量,ジャガイモの破断強度,色差,組織観察,官能評価で総合的に比較した.その結果,「揚げる」処理を行ったものが最も煮くずれ量が少なかった.これは素揚げにより,いもの表面が脱水され,表面が硬くなって,内部組織がくずれにくい状態になったものと考えられた.以上のことから,ジャガイモの煮物の煮くずれ防止には,揚げる処理を用いる方法が有効であると考えられる.
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