日本調理科学会誌
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パラチノースおよびパラチニットの低水分系べーカリ製品における食感発現機能
倉賀野 妙子花崎 憲子和田 淑子
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2004 年 37 巻 2 号 p. 143-150

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抄録
本研究は,パラチニットおよびパラチノースが低水分系の焼き菓子の食感発現に果たす機能と役割を砂糖との比較において明らかにすることを目的とした. パラチニットおよびパラチノースを添加したモデル焼き菓子を作成し,焼成品について破断試験および電子顕微鏡による内部組織観察,生地について示差走査熱量測定,ファリノグラフィーおよびエクステンソグラフィー,小麦粉グルテンの性状および溶解性の測定を行い,以下の結論を得た. 1.焼成品の破断力は糖質問で異なり,パラチノース添加は砂糖添加よりも著しく硬く,パラチニット添加は砂糖と同程度に砕けやすい物性を発現した. 2.パラチノースおよびパラチニットともに砂糖と同様に,でんぷん糊化温度を高温側に移行させ,でんぷん糊化を抑制して,焼成品の砕けやすい物性発現に寄与する要素を有していた. 3.パラチノースおよびパラチニット添加は,砂糖と同様に,生地のグルテン形成を砂糖と同様に抑制していることが認められた. しかしながら,形成されるグルテンの性状は糖質の種類によって異なった. 砂糖がグルテンの溶媒作用(グルテンの水への溶解性を増す)をもち,伸展性のある軟らかい生地にするのに比して,パラチノースはグルテンの溶媒作用を有さず,硬い生地にする. パラチニットは,グルテンの水への溶解性を低下させ,グルテンを不連続組織に形成する働きをもち,伸展性のない生地にする. こうした生地でのグルテンの性状の違いが焼成品の破断力に反映したものと推察された.
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© 一般社団法人日本調理科学会
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