日本調理科学会誌
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中部地方を除く国内各地の市販木綿豆腐の地域性
添田 孝彦山崎 勝利
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2004 年 37 巻 2 号 p. 215-223

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抄録
1.大豆は従来の輸入大豆から80%以上が国産大豆,有機無農薬栽培大豆および遺伝子非組換への切り換えが進んでいた.凝固剤もにがり使用が全体の約70%に達し,特に沖縄地方,関東地方および四国地方で高かった.消泡剤不使用および市水以外の水の使用は全体平均で10~20%と低かった. 2.豆腐重量は四国地方山間部と沖縄地方で高く,これら以外の地域では400gを切る重さとなっており,特に近畿地方および四国地方では軽かった. 上表面積は近畿地方で最大,九州地方は最少であった.価格は国内中央地域で高く,西日本と北日本では低く明らかな地域性がみられた.日持ちについては消費期限表示が70%と最も多く,賞味期限表示を合わせるとほとんどを占めた.固形分濃度は沖縄地方と他の地域との間で有意性をもって高かった.3.沖縄地方および中国地方の5社はすべてで生絞り法が採用され,装置的には鉄製煮釜や加熱方式など他の地域とは異なり特有のものとなっていた. 4.無機質分析よりにがり使用表示では30%の不一致はみられたが,全体的にはにがり使用が多かった.90%の試料でNa含有物が添加されていた.5.味風味の強さは沖縄地方および東北地方で高く,これらの地域は近畿地方および関東地方を除く地域との間で有意性がみられた.6.官能評価によるかたさおよび物性測定によるゲル強度は四国地方および沖縄地方で高く,関東地方および東北地方では低かった.四国地方は他のすべての地域との問で,沖縄地方は九州地方を除く地域との間で有意性がみられた.かたさはゲル強度で大部分表現できた.
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