抄録
我々は日本料理のだし素材である昆布を研究対象にとり上げ,抽出条件を変えた昆布だし汁中のヒ素及び遊離アミノ酸量の変化をHPLC 法, 水素化物発生原子吸光法, HPLC/ICP-MS 法を用いて測定した。その結果, 昆布だし汁は昆布試料の約90% の遊離アミノ酸と40-70% の総ヒ素が溶出し, 浸漬や長時間加熱によりその溶出量が増加した。アミノ酸の溶出には特に浸漬時間の影響が大きいことが示唆された。昆布残渣及びだし汁中の総ヒ素の大部分はアルセノ糖など無毒あるいは毒性の少ない有機ヒ素化合物と結論した。ヒ素の溶出は特に加熱操作によって増加すると考えられ,アミノ酸とは溶出機構が異なることが示唆された。