2008 年 41 巻 5 号 p. 319-326
ソバの機能性成分ルチンの損失を抑え,歯応えの良いソバ切り(麺)の調理条件の解明を目指し,ソバ切り調製時におけるルチンと小麦グルテンの相互作用について追究した。ルチン含量の異なる普通ソバ粉普通-ダッタン配合ソバ粉,およびダッタンソバ粉を用いてグルテン添加量を変えたモデル麺を調製し,ゆで麺の破断特性測定および走査型電子顕微鏡による構造観察を行った。配合ソバはグルテン添加量の増加により,均一な構造となり,普通ソバに類似した破断特性を示したが,ルチン含量の最も高いダッタンソバはグルテンを添加しても構造が粗く,歯ごたえの弱い脆い麺であった。また,逆相クロマトグラム分析から,ゆで処理による配合ソバおよびダッタンソバからのルチン損失が,グルテン添加により抑制されることが示唆された。以上より,配合ソバ程度までのルチン含量のソバ粉は,10-20wt%のグルテン添加により,歯応えがあり,機能性の高い麺に調製できることが期待できる。