2008 年 41 巻 5 号 p. 337-343
冷凍メバチ肉の塊を,30℃ の3%食塩水に浸漬する解凍法(解凍法1),30℃ の水に浸漬する解凍法(解凍法2)および4℃ での緩慢解凍(解凍法3)に供した。品質の同じ試料では,解凍過程における重量変化,色は解凍法1と解凍法2の間で差異はみられなかった。上物とよばれる品質の高いマグロ肉についての官能検査では, 解凍法1 で解凍した試料は解凍法2で解凍したものに比べて,水っぽくなく,一方で,粘性,塩味,マグロらしい味(うま味)が強かった。解凍法1で解凍した刺身の外側の食塩濃度は,解凍法2および解凍法3で解凍した試料の食塩濃度よりも有意に高かった。マグロ肉へ食塩が浸透することによって,粘性が増し,うま味が増強されるものと考えられた。