カウンセリング研究
Online ISSN : 2186-4594
Print ISSN : 0914-8337
ISSN-L : 0914-8337
資料
派遣社員の期待充足がストレス反応に及ぼす影響
―キャリア・カウンセリング来談者を対象として―
田上 明日香水島 秀聡嶋田 洋徳鈴木 伸一
著者情報
ジャーナル フリー

2010 年 43 巻 2 号 p. 141-149

詳細
抄録

本研究では,派遣社員の期待充足尺度を作成し,作成した尺度をもとにした状態像のタイプ分けを行うことによって,各タイプの特徴を明らかにすることを目的とした。91名の派遣社員(30.64±4.94歳)を対象に,期待充足に関する項目を収集,作成し,その項目について因子分析を行い,3因子20項目の尺度を作成した。その期待充足尺度を使用して,61名の女性派遣社員(平均年齢31.36±5.00歳)を対象にタイプ分類を行い,3つの類型を得た(能力開発期待非充足型,仕事内容期待非充足型,ワークライフ・バランス期待非充足型)。そこで,心理的ストレス反応の3下位尺度得点を従属変数とする1要因の分散分析を行った。その結果,「抑うつ・不安」得点と「無気力得点」に有意差がみられた(抑うつ・不安:F(2,58)=3.31,p<.05,無気力:F(2,58)=4.84,p<.01)。TukeyのHSD法(5%水準)による多重比較を行ったところ,ワークライフ・バランス期待非充足型と比較して,能力開発期待非充足型で「抑うつ・不安」得点と「無気力」得点が有意に高いことが示された。これらの結果から,キャリア・カウンセリングに来談した派遣社員の期待充足の状態像が明らかになり,タイプごとの支援方法の示唆が得られた。

著者関連情報
© 2010 日本カウンセリング学会
前の記事 次の記事
feedback
Top